ミステリアスアドベンチャー「Kentucky Route Zero」(ケンタッキールートゼロ)紹介

 

(Steamに書いたレビュー)

失いつづける者たちがたどる道、静かで美しく余白に満ちたケンタッキー0号線

 

※日本語対応作品だが2021年1月現在翻訳の品質が非常に悪いため、英語版でプレイしたレビュー

 

閉店することとなったアンティークショップの配達員コンウェイは、最後の配達としてDogwoodへ荷物を届けることになる。なぜか地図に載っていないその場所に行くためには謎めいた道路、ケンタッキー0号線を通らなければならないという。老いた愛犬、行方不明となった従妹の手がかりを探す修理工、親とはぐれた子ども、鉱山から逃げ出しミュージシャンとなったアンドロイドたち、何かを失いさまよう彼らと出会いともに0号線を進む静かな旅。その先には…。

 

5つのチャプターと5つの幕間劇で構成されたポイント・アンド・クリックアドベンチャー。パズルや謎解きなどはなく、できることは文章を選択することぐらいないので、演出が非常に洗練されたヴィジュアルノベルに近い。

文章がゲームの主要素となるが、現状の和訳は機械翻訳に近く作品の魅力を全く引き出せていない。なので本作の雰囲気を味わうには、それなりに英語を読む必要がある(詳細は後述)。

クリアまでは10-15時間程度が目安。

 

マジックリアリズムシュールレアリスムなど不思議で超現実的な雰囲気を漂わせながらどうにもならない現実を描く本作は、とにかく演出・物語ともに繊細かつ劇的に作りこまれている。

余計な情報をそぎ落としたビジュアル、美しく実在感のある環境音、さりげなく時に詩的な文章、はっとするような場面転換。それらは忘れられないほど美しいシーンを作り上げている。物語に大きな起伏はなくずっと静かなまま進んでいくが、プレイしていると驚きは絶えない。

そして導かれるように進む物語は、返済できない負債・大企業により蝕まれ寂れゆくコミュニティなどシリアスなテーマを含んでいるけれど丁寧かつ真摯に取り扱われており、その終着点はどこまでも平穏で美しい。

チャプターの終わりごとにある幕間劇は最初は意味不明だが、美術館の展示・演劇・テキストアドベンチャー・電話での会話・テレビ番組など様々な形で届けられるメッセージは、本編と複雑に反響しあいながら、きっとプレイヤーに何かを残すだろう。

 

ゲームにおけるナラティヴや文学性などに興味がある人、本作の静謐さや喪失と弔いというテーマに惹かれる人は、少し無理してでもプレイしてほしい傑作。

今後和約が改善されれば、もっと広くノベルゲームやテキストアドベンチャー好きにおすすめしたい。

 

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以下補足

(英語について)

自分はTOEIC500点代(高校基礎程度)で辞書片手になんとか最後までクリア。内容の理解度は6~7割程度だと思う。以下の点で文章の難易度は高め。

・日常会話で使わない単語が多い

・文学的飛躍が多く、文脈が分かりづらい

・地の文はワンセンテンスが長く、文章量が多い

それでも一部の幕間劇を除いて勝手に進むことはないので、文章はゆっくり読むことができる。わからなくても、とりあえずクリックすれば進めるので問題ない。

選択肢はどれを選んでもペナルティはないので、好きなものを選べば大丈夫。全部理解できなくても、グラフィック・サウンド含めて演出が非常に魅力的なので、あまり気にせず進めてもいいかもしれない。

 

(Kentucky Route Zero各場面の概要・解説)

ガイドを書いたので、和約が意味不明だった人や英語が難解でわかりにくかった人も、これを読んでKR0をプレイしよう!

ashi-yuri.hatenablog.com

 

 

日本語レビューもはっておく

jp.ign.com

news.denfaminicogamer.jp