宇佐美りん「推し、燃ゆ」感想

ある殉教者の記録 ファンを殴ってしまった推しアイドルの炎上に端を発する話。 どこか貧しく削ぎ落とされた文章の鋭利さが内容と一致し、語彙・文体の選択が的確で楽しく読めた。 おそらく発達障害的なものを抱えた主人公視点でも、破綻寸前の家族関係の中で…

現代中国SF短編集「月の光」感想

Twitterに書いた感想まとめ 夏笳『おやすみなさい、メランコリー』 ながいひとりごと 同作者の「童童の夏」と同じく、孤独と精神のすき間をすこしだけ埋める科学技術のあり方にほんのり希望を感じられてよかった 張冉『晋陽の雪』 歴史の重みに呑まれたSF 10…

中国SF短編集「折りたたみ北京」感想

Twitterに書いた感想まとめ 陳楸帆『鼠年』 産業発展を続ける国での知識階級の若者の憂鬱、不明瞭な利害関係のなかで誰もが(鼠も!)大きなシステムの駒でしかないこと、確かに何かを感じたはずなのに無意味であること。 理知的な筆致で、切実なのに虚無的で…

目次

読書感想等の目次 <ア行> 宇佐美りん「推し、燃ゆ」 李禹煥「余白の芸術」 T・S・エリオット「荒地」 ユージーン・オニール「氷人来たる」 <タ行> トマス・M・ディッシュ「SFの気恥ずかしさ」 オルガ・トカルチュク「昼の家、夜の家」 <ナ行> 中野淳「青…