Twitterでずっと書いてるKentucky Route Zero(ケンタッキールートゼロ)私家翻訳雑記の2022年1月~3月までのまとめ。
引用されてる芸術作品のまとめとかフォント差替えの話や、その他雑感など。
※画像の日本語は非公式の私家翻訳mod適用済み。正規画面と異なります。
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記24
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月6日
オマージュ元の文学とか芸術とか
本作は色々な文学・演劇・美術・歌・PCゲームの引用を行っているので、自分の勉強も兼ねて、目についたものを10作品ほどご紹介。
別に知ってる必要はなくて、複雑で微妙な味わいの由来に思いを馳せるきっかけになれば。
①ガルシア・マルケス「百年の孤独」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月6日
架空の南米都市マコンドの歴史を超現実・土俗的描写を交えて描く『マジックリアリズム』の有名作。ウィーバーやシャノンの名字・住所はここから。
演出として借りるだけでなく、文学的手法を通して地域が背負った歴史を切実に描いてるのがすごくいいなと思ってる pic.twitter.com/LNwGECMdr3
②ルネ・マグリット「白紙委任状」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月7日
ベルギーのシュルレアリスムの画家。イメージと現実をずらして戯れるような作品が多い。アート系ゲームでよく引用されてる。
本作では、Act2のForestの背景にオマージュが出てくる。移り変わっていくマグリットの絵の中を動けるのは新鮮!https://t.co/0peesvcBXv
Kentucky Route Zero
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月7日
Act.2 Forestより pic.twitter.com/e7OfjwG0aH
③サミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月8日
来ない神様をずっと待ち続ける、いわゆる不条理演劇。
Act3のレッカーを待つシーンや、ジョニーの友人「ディディとゴゴ」、バー「どん底」の台詞など。
信じきれない神様をずっと待っているような、割り切れない両義的な感じは少し雰囲気似てる・・ pic.twitter.com/3HE1Hq5kQN
④Cave Adventure
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月9日
テキストアドベンチャーの始祖の一つ。
謎のゲームXanaduの元ネタ。洞窟名『ベッドキルト』も。
ケンタッキー州マンモス・ケーブ国立公園の洞窟群を舞台としている。その筋には超有名作、らしい。 pic.twitter.com/D1yVA2SMge
⑤たくさんのPCゲームたち
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月9日
Act1のMuseumの隠し部屋で見られる、多分開発者のリファレンス元orお気に入りゲーム。
SyberiaとかDigital: A Love StoryやThe Cat and the Coupあたりが比較的有名か?
下記で一覧・リンクが見られる。https://t.co/XvZeZskYkG
⑥ユージーン・オニール「氷屋来たる」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月10日
1939年に米劇作家による演劇。都会の片隅の酒場で、どうしようもない人たちが酔いつぶれながら、絶望に気付く悲劇。
Act.2の幕間劇『エンターテイメント』はこれを本歌取りしたもの、らしい。脚本が絶版で読めない・・ pic.twitter.com/32zDMU1gl9
⑦ナム・ジュン・パイク「Random Access」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月11日
ビデオアートを確立した現代アーティスト。不気味でクールなテレビ使いが格好いい!
上記作品をそのままもじったものがLimits & Demonstrationに"Overdubbed Nam June Paik installation, in the style of Edward Packer"として出てくる。 pic.twitter.com/rPnMfyP0AZ
「観客はテープレコーダーから取り外されたサウンドヘッドを使って、壁に貼られたテープを走行させ、場所や速度によって音の並びを常に変化させることができる。このように、音楽の素材にランダムにアクセスすることで、来場者は自分自身の作曲を行うことができるのです」https://t.co/VxGZhe8Zhq
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月11日
⑧ホイットマン「草の葉」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月12日
アメリカを代表する放浪詩人。元気で気宇壮大で自然と理想に満ちたアメリカ!というイメージ。
Act5のある言葉や実績の「あなたの足の下に私を探してください」は、詩集内の「おれ自身の歌」から。
古典新訳文庫が読みやすくておすすめ。
※画像はmod適用済み pic.twitter.com/ljMZY6wwdJ
⑨ホルヘ・ルイス・ボルヘス「円環の廃墟」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月13日
Act.5に本好きの幽霊「ホルヘじいさん」が出てくる。そして、本作の至る所で示される円環構造は、多くのボルヘス作品を想起させる。そもそもオープニングが謎の円だし。
文学フェチで思わせぶりな作風も似てる。 pic.twitter.com/zbImjUCouH
⑩ロバート・フロスト「雇われ農夫の死」
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月14日
日常的・素朴な言葉で、思索と苦みを感じる両義的な詩を書くアメリカを代表する詩人のひとり。
上記は『お家に帰りたい』ことを描いた詩。Act.5の幕間劇、そして本作全体のモチーフになっている。
確かにKRZと同じ精神を感じる・・。 pic.twitter.com/I6OPRuCdWa
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記25
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月17日
Act.4 The Rum Colony
諦めと悲しみを甘いカクテルで飲み干して
Act.4は物語に起伏なく特になにも起こらないけど、テキストは一番いい章だと思っている。
冷たく静かに流れる川に沈みゆくような雰囲気が伝われば。
※画像はmod適用済み、正規画面と異なります pic.twitter.com/h8l5vui2E1
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記26
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月24日
ActⅢ~ “Ha ha.”
諦めや自嘲の入り混じった、本作特有の笑い。ActⅢあたりから頻出する。
ケイト:「誰も家族じゃない」なら、「誰もが家族」なんだと思う。ハハ。
ActⅣ A Groveより
※画像はmod適用済み、正規画面と異なります。 pic.twitter.com/DWuXhewAxv
Kentucky Route Zero私家翻訳mod 1月の進捗
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年1月31日
翻訳:100%完了
推敲:36%→70%(Act.3途中まで)
実装:37%→65%(Act.3,4以外完了)
残務:テストプレイ
保留:フォント置き換え
順調にいけば3月中に作業完了させて、テストプレイ始められそう。
サマーセールまでには完成させたい。 pic.twitter.com/F0u5F4mmAn
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記27
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月3日
MOD実装の話
1.翻訳文を作る。
2.翻訳データ見ながら、一文ごと順番並べ替え
3.excelで改行調整記号を一括装入・調整
4.翻訳データに一行ずつコピペ(約2万行…)
5.データリパック後、ゲーム画面確認。不具合あればデータ修整、再確認。 pic.twitter.com/Akor3guTbN
この間に、リパック後に起動したら画面がバグる、文章内の謎の空白を消したら進行不能になる、などのトラブルが挟まる。
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月3日
そんな素人でも有志翻訳modを形にできたのはお〜るげーむず(仮)さんのガイドのおかげです。
本当にありがたい。https://t.co/XDOVVT7Lcl
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記28
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月4日
翻訳実務の話
隙間時間にスマホで作業できるよう、メモアプリ主体で作業中。
素人なので下読みにDeepL使って、スマホ組込み辞書・ジーニアス辞書のアプリ連携+google検索でなんとかこなしてる感じ。
残業後にPC立ち上げる気力はもうないんだ…
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記29
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月4日
Act.2 見晴らしのいい場所
美しく、何気なく、忘れがたい人生の断片。そして... pic.twitter.com/4Fdld0wmtk
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記30
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月5日
フォントの話
既存の日本語フォントは「IPAゴシック」(画像上から3番目)で読みやすいけど、いかにも『ゴシック体』という感じで雰囲気はふつう
英語に近い細めで落ち着いたものに差し替えられると、雰囲気ぐっと良くなりそうだけど、自分には技術力がない… pic.twitter.com/tl7dN3NtHE
Kentucky Route Zero有志翻訳のフォントについて
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月5日
有志翻訳modを作成するにあたり、日本語フォントの差し替え方法を探しています。
Unity製作品の「font_raw」形式(おそらく画像フォント)の差し替えについてご存知の方がいましたら、リプライ・DM等で情報提供いただけると嬉しいです。 pic.twitter.com/Z6viYh86hf
KRZ有志翻訳 フォント差替え続報@Allgameskariお~るげーむず(仮)様に助けていただいて、フォント差し替えできました!!本当にありがとうございます。
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月6日
RT等にご協力いただきました皆様にも感謝申し上げます。
雰囲気や可読性を考えながら、より良いmodにしていきたいと思います。 pic.twitter.com/xaDNVoNKnb
KRZ有志翻訳 フォント差替え続報②
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月9日
原文の繊細な雰囲気に近づいた気がする。
フォントは@internetscape さんにZen Kaku Gothic Antique( SIL Open Font License)を改変したKRZ専用フォントを作ってもらいました。すごい!
1:フォント差換え後
2:英語
3:フォント差換え前 pic.twitter.com/3BaxlEiJLk
改変元フォント名は「Zen Kaku Gothic New」になります。大変失礼いたしましました…
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月9日
訂正させていただきます。
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記31
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月16日
ポリフォニー(多声性)
KRZでは語り手や視点が頻繁に入れ替わる。いくら話を接ぎ合わせても乱反射するばかりで、力強いストーリラインや隠された謎はなく、どこか曖昧なまま話は進んでいく。
※画像はmod適用済み、正規画面と異なります pic.twitter.com/88pSkKbKo8
誰かの記憶の中に、監視カメラの映像の中に、川の語り部の話の中に、人々のざわめきの中に、悲劇の中に、いつか確かにいたはずの彼の話。
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月16日
KR0私家翻訳雑記番外編
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月17日
想像と現実
自分では結構うまく訳していたつもりだったのに、改めてゲーム画面で見るとまるで意味不明・・・
修正します。
※画面はmod適用済み。正規画面と異なります pic.twitter.com/UCAO622u1t
Kentucky Route Zero私家翻訳mod 2月の進捗
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年2月27日
翻訳:100%完了
推敲:70%→94%
実装:65%→82%
フォント置換:完了!
残務:テストプレイ
今月はいろんな人のおかげでフォント置換できたのが本当に良かった!!
3月中にテストプレイ始めて、できれば自分以外の人にも参加してもらえるようにしよう... pic.twitter.com/YtEYAcdNWn
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記32
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月5日
Un Pueblo de Nada
Act.4と5を繋ぐ幕間劇。とあるTV局の嵐の一日を描く。珍しく緊張感ある場面もあって、訳してて楽しかったです。
「暗闇の中で稲妻が光り、外はまるでスライドショーのよう」
「ゴーストタウンでの私の夏休みだ」 pic.twitter.com/nqbDLCiIsf
スクショは、UPDNで(ネタバレなしで)一番好きな台詞から。
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月5日
※画像はmod適用済み、正規画面と異なります
Kentucky Route Zero私家翻訳雑記33
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月20日
会話の話
長い思索的な文章も難しいけど、個人的には自然な会話文が一番苦手...
いわゆる『キャラクター』っぽくしたくなくて、口調も男女の役割語を使いすぎないようにしてるけど、手持ちの語彙が少なくて語尾がいつも同じになるのが困りもの。 pic.twitter.com/2DLUk8yYDZ
あと、ジョニーの口調がかわいくなりすぎてる気がする・・
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月20日
率直で皮肉っぽいジューンバグのクリケットだし、優しく従順でいい奴ではあるが・・
※画像は両ツイートともmod適用済み。正規画面と異なります。 pic.twitter.com/NBn7KhB4Ki
Kentucky Route Zero小ネタ
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月21日
水没事故のあった廃鉱の幽霊たち
modの動作確認用に、Act.1の廃鉱シーン(もう10回くらい潜ってる)で適当に遊んでたら...
広場でランタン消したとたんにいきなり幽霊に取り囲まれてる...!!
そして、マジでビビッて数十枚くらいほぼ白黒のスクショを取った図。 pic.twitter.com/AUsX4SI1c8
KRZ私家翻訳雑記34
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月21日
使用ソフトウェアの話
テキストエディタ Notepad++
校閲補助 Word
改行調整用ゼロ幅スペース挿入等 Excel
メモアプリ OneNote、Simple Notepad
翻訳データ抽出・反映 UnityEX
フォント入替 KRZ_FontRaw-Maker(特注🫠)
フリーソフト製作者とMicrosoftには感謝しかない... pic.twitter.com/rrjjTPDVv0
KRZ私家翻訳雑記35
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月25日
ささいな話
Still まだ→蒸留器
Dawn 夜明け→ドーン(人名) などなど
背景が不明で単語単体を翻訳するのは大変そうと思いを馳せてみたり。
ただプレイ体験をすごく阻害するので、一プレイヤーとしては、テキスト主体作品は特に、良いローカライズ環境の整備が進んでほしいな。 pic.twitter.com/19cL7wB3P2
Kentucky Route Zero非公式翻訳mod 3月の進捗
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月30日
翻訳・実装:88%→100%完了
残務:テストプレイ準備
というわけで、色んな人のおかけでmodほぼ完成しました!1年以上かかった...
セール待ってたら5月の連休終わるかもと思い至ったので、準備出来次第4月上旬にテストプレイ募集始めるかもしれません pic.twitter.com/giJDdsSYNI
画像の台詞は、本作をちゃんとした日本語で読みたいと思ったきっかけの台詞です。
— ashi_yuri (@mattakushiranai) 2022年3月30日
謎めいた彼女の言葉からすべてが始まる...
※画像はmod適用済み。正規画面と異なります。